【リサイクル業界】2050年を見据えて想いを紡ぎ、新たな価値を創造していく : 岸川商事株式会社

建物の解体現場や工場で出る鉄くずやアルミくず。
「それって結局どこへ行くんだろう?」と思ったことはありませんか?

リサイクルと聞くと「地味そう」「汚れ仕事」というイメージがあるかも。けれど実は、私たちの生活を支える大事な役割を持っています。

福岡県北九州市戸畑区にある 岸川商事株式会社も、その役割を担う会社。工場などから出る産業廃棄物の回収・処理やスクラップ(金属くず)の買取・リサイクルを中心に、最近では遺品整理や生前整理といった“整理業”にも力を入れています。

今回は、管理部でSDGsと健康経営を推進する小柳さん、営業部をまとめる中堅社員の岩佐さん、そして新しい挑戦を進める新名社長の話を通して、「捨てられるモノをどう循環させるか」「暮らしをどう支えるか」という仕事の魅力を紹介します。

目次

アイデアに挑戦できる ― 小柳さんの働き方

管理部で働く小柳さんは、夫の転勤で北九州にやってきた。小さな子どもを連れての引っ越しに不安もあったが、住んでみると子育て支援が充実していて安心できたという。そんなとき出会ったのが岸川商事の求人だった。

「前はパン屋や車屋、コールセンターなどいろんな仕事をしてきました。でもせっかく新しい土地に来たので“違うことに挑戦してみたい”と思い応募しました」

現在はSDGsの推進や健康経営の企画を担当。社内外向けの資料を作ったり研修を企画したりしている。

「『こんな研修を開いてはどうでしょう』『こんなポスターを作りませんか』という提案も、入社して間もない私の意見でもすぐに検討してくれます。過去の職場では承認までに時間がかかることが多かったので驚きました」

もちろん責任はあるが「失敗しても責める雰囲気ではなく、“どうしたらうまくいくか”を一緒に考えてくれる」と言う。さらに、子育てと両立できる環境も魅力。子どもが急に熱を出しても周囲がフォローしてくれるので安心して早退や休みを取れる。

学びたい講座や資格取得があれば費用を補助してもらえる制度もある。「社会人になっても挑戦できる環境があるのは貴重」と語る。

戦略を考える面白さ ― 岩佐さんの挑戦

営業部で係長を務める岩佐さん。学校を卒業した後は仕事を転々とし、父親の縁で岸川商事に入社した。

「鉄スクラップ?産廃?最初は何もわからず、『ゴミを扱う地味な仕事だろう』と思っていました」

ところが実際に働くと、回収した金属が再利用されて自動車部品や建材になることを知った。「ゴミじゃなく資源なんだ」と気づき、仕事への見方が大きく変わったという。

今は主にトラックの配車を担当。約15台のトラックをどこに行かせ、どう動かすかを考える重要な役割だ。道順や現場の状況、ドライバーの得意分野、新しい依頼などを考え合わせ、最適なルートを組む。「最初は大変だったけれど、今はパズルを解くみたいで楽しい」と言う。

現場では予定外のことが起こることも多い。「品物が違う」「量が違う」などトラブルがあればすぐ相談し、仲間と一緒に解決する。

また、金属の種類によって価値が変わる。鉄やアルミ、銅などを見分け、工夫して仕分けすれば宝探しのように価値を発見できる。「ただのガラクタだと思ったら大間違い」と岩佐さんは笑う。

「毎日違う案件が入ってきて、考えたり工夫したりするのが楽しい。飽きっぽい自分でも続けられているのは、その面白さがあるからです」

どんな人に向いているかを尋ねると「好奇心がある人」と答える。「最初は分からなくて当たり前。ベテランが教えてくれるし、分析器で調べることもできる。むしろ新しい目線を持っている人こそ、この仕事で活躍できる」とのこと。

社長が描く新しい挑戦

岸川商事は創業120年。長い間北九州でスクラップや産廃事業を手がけてきたが、現在は新名社長が事業を引き継ぎ、新しい改革を積極的に進めている。

たとえば、以前は営業予定を紙やホワイトボードに手書きで管理していた。しかし、それでは急な依頼に対応しにくく、トラックの位置も把握しづらかった。そこでDX化を進め、システムを導入。情報共有のスピードが格段に上がり、効率が大きく改善された。結果として社員が休暇を取りやすくなったり、新しい事業に挑戦する時間を生み出せるようにもなった。

そうした“新しい事業”のひとつが、遺品整理や生前整理といった“整理業”だ。高齢化が進むなかで、施設入居や家の片づけをサポートしてほしいという声は年々増えている。家具や家電の処分にとどまらず、新生活に必要な家具を一緒に選んだりと、トータルで支援するケースもある。「スクラップや産廃のノウハウがあるからこそ、人が片づけに困る場面で力を発揮できる」と社長は語る。

「実際にやってみると、ただのゴミ捨てでは終わらないんです。一人暮らしの方や遠方の家族の代わりに家財を整理したり、新しい住まいの準備を手伝ったりすると本当に喜んでもらえる。『スクラップ屋がここまでやるの?』と驚かれることも多いですね」

今後は整理業を一つの大きな事業部に育てていきたいと考えている。スクラップや産廃事業をベースにしながら、暮らしに寄り添うサービスを組み合わせることで、新しい価値を生み出していこうとしているのだ。

「数字を追うだけでなく、社員がどうすれば働きやすいか、どうすれば自分たちの成長を実感できるかを常に考えています。失敗があっても『どうすれば解決できるか』をみんなで考える前向きな文化を作りたい。社員にはもっと自由にアイデアを出して挑戦してほしいですね」

ゴミじゃなく、未来の資源へ

鉄スクラップや産業廃棄物と聞いても、ピンと来ないかもしれない。けれど実際には、身近なモノもいつか壊れたり不要になったりする。そのとき、リサイクル業者が回収し再利用できるからこそ、資源が無駄にならない。

岸川商事はさらに、暮らしに寄り添う整理業にも取り組んでいる。スポットライトは当たりにくい仕事だが、社会や人を支える大事な役割。
「環境に関心がある」「誰かの役に立ちたい」「新しいことに挑戦したい」――そんな気持ちがあれば大丈夫。先輩や社長がしっかりフォローしてくれる。金属の見分け方も道具を使えば調べられるし、ベテランが経験を教えてくれる。

しかも岸川商事は、多角的に事業を展開しているから営業や配車管理、現場作業、企画、新規事業などいろんな経験ができる。資格や免許の取得支援制度もあるから「手に職をつけたい」人にもおすすめ。

リサイクルの仕事は地味そうに見えて、実は宝探しに近い。山積みのスクラップから価値を見つけたときの達成感は大きい。
「モノを捨てるだけじゃもったいない」「また誰かの役に立つかもしれない」――そんな可能性を見つけ出すのがこの仕事の醍醐味だ。

人の暮らしに寄り添い、新しいスタートを応援。岸川商事は北九州から、社会を支える新しい循環を生み出している。

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