最近、日本全国の水道管があちこちで壊れているというニュースを目にすることが増えたように思います。
水道管が破裂すると、水が無駄になるだけでなく、道路が陥没してけが人が出ることもあります。
実は、全国の水道管では「寿命」を過ぎているのに取り替えが追いついていないとう社会課題があります。
交換には毎年膨大な予算が必要ですが、人口が減って税金も少ない自治体ではお金が足りず
工事を先延ばしにしているのが現状がある。
今回紹介するのは、北九州市に本社をかまえる「三幸工業株式会社」(以下三幸工業)。
電気や水道といったインフラ(生活基盤となる仕組み)を支える事業を中心に展開しながら
ITの力も活用して、少し先の地域や社会のために奮闘している会社だ。
北部九州を中心に、電気を各家庭や事業者へ送電するための仕組みを維持したり
水道管の維持管理に必要な情報を地方自治体や整備を担う企業へ提供したりと
人知れず汗水を流し、人々の生活を守り未来へとつなぐ仕事を担う三幸工業とはどんな企業なのか。
ひと・地域・社会
の力になることを
考え、行動する

三幸工業株式会社は北九州市に本社を持ち、福岡市にも営業所を置いている。
電気や水道管といった社会インフラをデジタル技術で支える事業から、
社内データをプログラムで効率化する仕事まで、幅広い業務を担う会社だ。
たとえば大手電力会社の変電所の図面を修正したり、
自治体が使う水道管の位置情報システムを開発したり。
表舞台で目立つ仕事ではないものの、
私たちの暮らしと切り離せないところを着実に支える
「縁の下の力持ち」的存在である。
そんな会社名には「三つの幸せ」という意味が込められている。
上田社長は「人の役に立つ」「地域の役に立つ」「社会の役に立つ」
この三つを柱にして事業を続けていると教えてくれた。
「社会は、誰かの手によって少しずつ手が加えられ良くなっていると思うんです。
自分たちも仕事を通じて誰かの役に立つことで、そこに関わる人たちの暮らしが
ちょっとでも豊かになるなら嬉しい。
そのためにも、社員一人ひとりが元気に働ける環境が大切で
その土台づくりにはこだわっていますね」
三幸工業は、上田社長のおじいさまが創業し、お父さまが二代目を継ぎ
そして今は上田社長が三代目として事業を引き継いでいる。
「最初から三代目をやると決めていたわけではなく、自然とそうなりました。
しかし会社を引き継ぐ以上、経営の知識や先代(会長)の想いをしっかり学ぶ必要がありますし
現在も学びの途中なんですよ。ただ“人の役に立つ仕事がしたい”という気持ちはずっと変わりません。
三幸工業が大事にしてきたアットホームな社内風土を守りながら、
これから社会へ新しい価値を提供できるよう、これまでとは違ったことにも
どんどん挑戦していきたいですね」
そう語る上田社長は、常に時代の変化に柔軟に対応しながら
自社がより成長するにはどうすればいいのかを試行錯誤している。
信頼関係と責任感の醸成が
成長に繋がり
仕事が楽しくなる

入社して十数年が経つ小野さんは、総務を中心に新人教育などの業務を担当している。
社長よりも社歴は長く、社内でも絶大なる信頼を得ているキーマンだ。
「うちは電気や水道に関わる専門的な仕事も多いんですが
若い人たちにはまずパソコン作業やExcel、Wordの修正から始めてもらいます。
そこからCAD(図面ソフト)を扱ったり、実際に取引先と打ち合わせに参加してみたり
とにかく『やってみる』ことを大事にしています」
と小野さん。
もちろん、はじめから何でもできる人なんていませんから、一人前になるまでには時間がかかる。
戸惑いながら、失敗しながら、少しずつスキルを身につけるのだが
それを支えているのが小野さんなどベテラン社員の存在だ。
「大きな失敗があっても大丈夫。私らが必ずフォローしますから
若手には“とりあえずやってみよう”と声をかけています。
やっていくうちに『あ、こういうことか』と理解できる瞬間が増えてくる。
そのとき『お、成長してるな』と感じられるのが何より嬉しいんですよね」
小野さん自身、若手をまとめる立場になった当初は
「どうコミュニケーションをとればいいのか」と悩んだそうだ。
しかし、そこも「一人で抱え込まなくていい。社長や周りに相談して、一緒に解決すればいい」
という社風が根づいているため一人で抱え込む必要はない。
「部下をうまく導けずに空回りしたり、悩んだりするのは自然なこと。
それでも“困ったら誰かに声をかけられる”のが弊社のいいところなんですよ。
最近は、若手が少しずつ変化していく姿を見るのがモチベーションです」
と暖かな眼差しで、若手社員だけではなく
会社全体の精神的支柱となっている小野さんは会社にはいなくてはならない存在だ。
『誰かのため』を思うことで
豊かにはたらく

福岡営業所に勤務する日向さんは、転職で同社に入社。
前職ではCADを扱った経験があったものの営業業務は未経験だったという。
だが三幸工業ではCAD作業だけでなく、お客さんとの打ち合わせや依頼の窓口も担当し、仕事の幅は広い。
「営業というとノルマとか飛び込み訪問をイメージする人もいると思いますが、
うちはそうじゃありません。大手の取引先をはじめ既存のお客さんとの仕事がメイン。
いわゆるお得意さんの困っていることを丁寧に聞いて、
それをどう解決するか考えることがいちばん大事なんです。
図面の修正やプログラムの開発を組み合わせて、相手企業の課題を解決することを常に考えアイデアを出す。
それらが実現し“助かったよ”と言ってもらえたとき、大きな喜びと達成感を感じることができます」
最近は既存顧客の依頼内容も少しずつ変わり
プログラムを使ってさらに社内業務を効率化できないかという問い合わせが増えている。
そのたびに新しいツールやソフトを試したり、自分なりに勉強したりと
日々の業務がそのままスキルアップにつながると日向さんは感じているそうだ。
「最初は『何だこれ、難しい』と思っても、不思議とできるようになれば楽しくなる。
そこに“頼んでよかった”というお客さんの表情が重なると
もっと頑張ろう、成長しようとモチベーションが高くなる」
自身の頑張りが、誰かの力になる。
そう感じられた瞬間に『やりがい』を実感できると日向さんは語ります。
働きやすい環境は
会社が積極的に
つくっていく
三幸工業の社風を社員に尋ねると、皆「とにかく距離が近い」と口をそろえる。
社長や会長が率先して動いて、社員旅行や社内行事を盛り上げることも当たり前だ。
「社員旅行は、普通なら若手が幹事を任されそうなイメージですが、
うちは社長や会長が『みんなを楽しませたい』と動いてくれます。
場所の選定からスケジュール調整まで、全部やってくれたりするんです。
そうなると自分たちも自然と『楽しもう』っていう気分になりますし
家族を連れてくるのも大歓迎なので、家族ぐるみで盛り上がるんですよね」
また、育児や家庭の都合にも柔軟に対応してくれる。
出産や引っ越しで離職せざるを得ない場面でも
「いつでも戻っておいで」と声をかけ、
仮に他県に移り住んだとしても在宅でできる業務を用意することもあるそうだ。
「一度退職をしても、また復帰する社員はいます。とにかく長く働いてもらえるほうが会社としてはありがたいので、待ってるよってスタンス。家庭の事情やライフスタイルは人それぞれ違いますから、そこに合わせるのが当たり前かなと思っています」
と上田社長。
こうした雰囲気が長年続いているのは、
「お互いが困ったときは助け合う」という考えが根づいているからだろう。
会社の規模拡大を最優先するより、
一人ひとりの社員が安心して働けることを優先してきた会社の姿勢が垣間見える。
あなたの中にある
『アイデア』が
世の中をよりよくする

三幸工業は今後もこれまでと同様、既存顧客との取引を広げつつ、
中小企業向けのITサポート事業を本格的に開始する予定。
AIの進化が目覚ましい昨今、ITの世界はめまぐるしいスピードで変わる。
「もちろんプログラミングやCADができる人は最初から活躍できる場面は多いです。
しかし、最近はAIがプログラムを自動生成する時代になってきていますよね。
だから大事なのは“ITでどんな課題を解決するか”を考える力だったり、提案する力だったりするんです。」
「コミュニケーションを取るのが好きだったり、好奇心が強かったりすれば、
未経験でもどんどん成長できます」
三幸工業では、まずはExcelやWordなど基礎的な操作から始め
CAD修正や打ち合わせなどに関わるなかで
自分の得意分野を見つけていく人が多い。
それを会社全体でサポートしていくのは、若手にもベテランにもある共通のマインドである
『誰かのために動くのって、やっぱり面白い』という想いがあるからだ。
最後に、上田社長からこんな言葉があった。
「若いときは失敗してもいいんです。というより、失敗を怖がって挑戦しないまま終わるのは本当にもったいない。仕事で誰かの『面倒だな、不便だな』を助けてあげられたとき、
『ありがとう、助かったよ』と言われることが何よりのやりがいになります。
そこに面白さを見いだせたら、仕事ってやっぱりいいものですよ」
三幸工業には、「失敗しても一緒にフォローし合う」文化が根づいている。
パソコンやプログラミングが好きな人はもちろん、「電気や水道など生活インフラを支える仕事に興味がある」
「自分の得意や興味を誰かの役に立ててみたい」と感じる人にも、とても相性がいい環境に思える。
小野さんや日向さんは、一度もやったことがなかった作業に挑んでみて
やり始めの時は苦労があったと言いますが同時に
「意外とできるようになったら面白い」「悩んだけれど、結果的に仕事で成長できた」
と笑顔で話してくれた。それが日常的に起こるのがこの会社の魅力。
また、インフラ事業という、世の中になくてはならない仕事が基盤にあるからこそ
安心して長く勤められるし、新たな事業へのチャレンジもできる。
ITが好きでプログラミング技術を活かしたい人も、
「正直まだよくわからないけど興味はある」という人も、
あるいは「そもそも人の力になれるなら何でもやってみたい」という人も。
三幸工業には、一歩を踏み出すための土壌がしっかりと整っている。
もし高校生のみなさんが「将来、何か役に立つことをしてみたい」
「自分に合った仕事をじっくり探したい」と思ったときは、
ぜひ三幸工業に足を運んでみてほしい。
好奇心が旺盛で「まずやってみる」ことが好きなきみのことを応援してくれる先輩たちが、
きっと温かく出迎えてくれるはずだ。