みなさんはふだん、パソコンやスマートフォンの裏側で何が起きているか、想像したことはあるでしょうか。オンラインショッピングやSNS、動画サイトなど、気づけば生活の多くの場面で「ネットの仕組み」に触れています。でも、その便利さを支えているシステムは、一体どんな人たちが作っているのか。どうやって動いているのか。意外と想像しにくいかもしれません。
今回訪ねたのは、北九州市戸畑区。鉄の街として歴史あるこのエリアですが、近年はITを活かした新しい働きかたやものづくりを模索する人たちも少なくありません。その一角に拠点を構える「株式会社ガーマンドシステム(以下ガーマンドシステム)」は、企業向けのシステム開発や運用保守、Webサイトの制作などを幅広く手がけています。
「自社で使うECサイトの注文管理をもっと便利にしたい」「社員の勤怠を正確に把握したい」「ネット販売と在庫管理を結びつけたい」など、さまざまな企業がITを使って課題を解決しようとするときにガーマンドシステムが頼りにされる。注文管理や勤怠管理、システムの裏側の仕組みづくりなどを担い、運用や保守までしっかりサポートすることで、お客さんが安心して自社のサービスを展開できるよう支えているのです。
「なんだか難しそう」「ずっとパソコンとにらめっこする仕事?」そう思う人も多いかもしれません。
今回お話を伺ったのは社長の宮房さん、取締役の上田さん、そして若手社員の白石さん、梶原さん、さらに若手を育成するリーダーの羽廣(はびろ)さん。
高校生のみなさんのなかには「将来やりたいことはあるけど、具体的にはまだわからない」「そもそも職場ってどんな雰囲気だろう」と漠然とした不安や疑問を抱えている人がいるかもしれません。
ここでの働きかたを知ると、システム開発の世界がぐっと身近になるのではないでしょうか。まずは若手社員がどんな思いで入社を決め、どう成長してきたのか。それぞれのストーリーからのぞいてみましょう。
バスケ部の主将も、数学好きの少年も
思いがけず飛び込んだ「システムの世界」

「システム開発って聞いても、最初は正直ピンとこなかったんです」
そう打ち明けてくれたのは入社4年目の白石さん。高校時代はバスケットボール部に所属し、主将を務めていました。部内では動画でほかのチームの戦術を研究し、試合で実践する。いわば「戦略を組み立てて実行する」ことに面白さを感じていたそうです。
「家族がIT系の仕事をしていたこともあって、なんとなく『パソコンを使った仕事ってカッコいい』というイメージがありました。ただ、実際にどんな作業をするのかは全然わからなくて。でも求人票をたくさん見ているうちに、『見学できるなら行ってみよう』と思える会社に巡りあったんです。それがガーマンドシステムでした」
学校を通して紹介される求人票は相当な数がありますが、そのなかから「IT企業」で絞り込んでいった末に見つけたと言います。実際に会社見学に行くと、開発フロアの雰囲気は真面目ながらも明るく、社員同士が気さくに意見を交わしているのを目にしました。「ここなら、人間関係で肩肘を張らなくていい」と感じ、入社を決めたのだといいます。
いっぽう、入社2年目の梶原さんは、もともと工場勤務を第一志望にしていたそうですが、友人と求人票を見ていて「プログラマーって面白そうじゃない?」と勧められ、興味を持ちました。
「昔から数学の授業が好きだったんです。『答えを見つけるまでの過程』にワクワクするタイプで、原因を探して解決法を考えるのが楽しくて。それならプログラミングも合うんじゃないかと思いました。入社前は『敬語がちゃんと使えなかったら怒られるかな』とかちょっと構えてましたが、蓋を開けたらみんな話しやすかったんですよね」
実際に仕事をしてみると、学校の情報処理やプログラミングの授業とはまるで違う部分がたくさんあります。授業で扱うのはあくまで基礎の基礎。けれど「入社後、2か月半くらいの研修でしっかり学べたおかげで、不安なくプロジェクトに参加できた」と梶原さんは言います。
「不具合が出たら、その原因を追求して解決策を見つける。問題を解き明かす過程が、どこか数学と似ている気がして面白いんです。それに、最初は一つひとつ新しいことを覚えていくのに必死だけど、そのうち『このエラー、前にもあったやつだ』と対応がスムーズになる瞬間がくる。自分の成長が目に見えると嬉しいですね」
まったくの未経験からスタートする分、覚えることは多い。だからこそ「少しずつできることが増えていく」感覚がモチベーションになるようです。
厳しさだけではなく「丁寧に育てる」リーダーの存在

「白石が最近、本当に頼もしくなってきたんですよ」
そう話すのは、会社設立当初から在籍しているベテランの羽廣さん。今はリーダー職として若手を育てつつ、チームを取りまとめています。前職ではずっとプログラミングに没頭していたそうですが、ガーマンドシステムに移ってからは、システムの構想を練る“上流工程”から携わることになり、「モノづくりの全体を見渡せる面白さ」に目覚めたといいます。
とはいえ、いまだにプログラミングの手を動かすのも好き。若手への指導も積極的に行っていて、よく言うのが「わからないことはわからないままにしないでほしい」ということ。
「白石は最初、ちょっと頑張りすぎるというか、わからないことを一人で抱えこんでしまうタイプでした。自分で少し調べたら解決できそうなら挑戦してみるのはいい。でも、時間ばかりかかってしまうときは、早めに声をかけてほしい。聞くべきかどうかの判断が上手になったのが、今の白石の大きな成長かなと思っています」
白石さんも「入社直後は“ここで聞いたら迷惑かも”と変に我慢してしまっていたけれど、羽廣さんが『そこはもう少し調べてみようか』とか『いまは聞いたほうが早いよ』と教えてくれるうちに、聞くタイミングをつかめるようになった」と振り返ります。
失敗を恐れて黙り込むのではなく、ひとまず調べてみる。わからなければ頼ってみる。そうして一歩ずつ経験値を積み上げていくプロセスこそが、ITの世界で成長するうえでとても大切だというわけです。
人生の転機もポジティブに
ガーマンドシステムには、高卒採用を始めた頃に入社した3人の“初代メンバー”がいます。その3人は入社して以来ずっと仲が良く、育休や産休をとっている期間も頻繁に連絡を取り合っていたそうです。出産や子育てを経て職場に復帰するときも、「会社に戻りづらい」という思いを抱かせないように社内での出来事の共有を積極的に行なったと木原さんはいいます。
続けて「学校と違って『会社ってどんな感じなんだろう…』と不安になる人は多いと思うんですよね。でもうちは“距離が丁度いい”んです。同じチームだけじゃなくて、ほかの部署の人とも話しやすいですし、年齢の離れた先輩も気軽に声をかけてくれる。そうやって気さくに話せる雰囲気があるから、人生の大きな転機も自然に共有できるんだと思います」と同社の魅力を語ってくれました。
実際、育休や産休などの制度も整備されはじめ、さらに柔軟な働きかたを選びやすい環境になりつつあるようです。「“会社”というと、どこか堅苦しい場所をイメージしがちだけれど、意外と人間らしさが求められる場所でもあるんだな」と感じさせられます。
「サラリーマンを続けたくなくて」社長が語る創業物語

ではそんなガーマンドシステムはどうやって生まれた会社なのか。宮房(みやふさ)社長に聞くと、「サラリーマンを続けたくない」という率直な思いがあったと笑います。
「いろんな会社で働くうちに、さまざまな上司との出会いがあったんです。尊敬できる人もいれば、そうじゃない人もいる。だったら自分で独立して、自分の力で食べていける道をつくろうと考えました。最初は家賃を払うのも大変でしたが、昔からの仲間が手伝ってくれたり、何とかかんとかやってきた感じですね」
駆け出しの頃は、請求書の支払いをしてもらうために頭を下げ続けたこともあったそうです。それでも続けられたのは、いくつかの企業と深くつながりながら「もっと面白いシステムをつくれないだろうか」と試行錯誤するのが性に合っていたから。お客さんの課題や希望をくみ取り、ゼロから形にしていく“ものづくり”の醍醐味は計り知れません。
「いつのまにか社屋を建てられるくらいになって、戸畑の地に根を下ろしました。うちの建物って木造なんですよ。外から見ると家のように見えるらしく、『あれ、ここ会社?』と聞かれることもしょっちゅう。でもこの“家っぽさ”が、社員がのびのびと働ける雰囲気にうまくハマった気がしています」
無機質でオシャレなオフィスビルではなく、木のぬくもりが感じられる社屋。そのなかで小さなグループがいくつかに分かれ、それぞれ相談し合いながら仕事を進めている様子は、確かに“家族”に近いものがあるように思えます。
「やってみたい」「こうしたらどうだろう」をカタチにする

社長の宮房さんによると、ガーマンドシステムの強みは「小さなチームで上流から下流まで関われる」こと。案件によっては要件定義やシステムの設計、プログラミング、保守運用まで、広い範囲を一気通貫で経験できるため、「あれもこれもやりたい」という好奇心の強い人に向いているそうです。
「システムの依頼は毎回違うから、飽きっぽい人にもいいかもしれません。逆に、ずっと同じ仕事を安定して続けたい人には、そういうポジションを用意することもできるんです。プロジェクトリーダー同士で『この子はこんな得意分野があるから、こっちの仕事が合いそうだね』みたいに調整していますしね」
全員がゴリゴリの「実力主義」で競争し合うわけではなく、「一人ひとりが得意を伸ばしていく」ことを大切にしているのが伝わってきます。技術を極める道もあれば、人をまとめる役割に挑戦していく道もある。企業をITで支える同社だからこそ、開発だけでなくコンサルや保守運用など多様な仕事があるのです。
【北九州に根付きながら何を目指すのか】
北九州市で創業し、いまもこの街にしっかり根を下ろすガーマンドシステム。地域の企業や取引先との長い付き合いを大事にしつつ、新しい技術の導入や社会の変化にも積極的に向き合っています。
「会社として大きくなるだけがゴールではないと思っています。社員がそれぞれのスキルを活かして成長し、北九州で長く活躍できる場所でありたい。社長は会社だけではなく、他団体を通じた地域支援や寄付、ボランティアにも力を入れていて、社員もそこに参加することが多いんです。地元の人たちが『北九州といえばガーマンドシステムがあるよね』と自然に思い出してくれるようになれば嬉しいですね」
そう語るのは取締役の上田さん。ITの技術で企業をサポートしているだけでなく、人と人のつながりが土台にあるのがガーマンドシステムの魅力なのだと感じます。
企業を裏側から支え、さらには地域を支える。そんな大きな役割を担いつつ、自分自身も着実にステップアップできる場所であり続けようと取り組むガーマンドシステム。
パソコンや数字が好きならもちろんのこと、「チームで一緒にものをつくるってなんだか楽しそう」「新しい技術を使って何かを変えてみたい」という好奇心があれば、きっとここでぐんぐん成長できるでしょう。
まずは足を踏み出してみる。そこから見える世界は想像以上に広いはずです。北九州で暮らしながら、最先端のITにも触れられる。そんな貴重なチャンスがここでは待っています。