11月9日、小倉北区のHostel and Dining TangaTableで「KitaQ Link Day」が開催された。主催は北九州商工会議所。地元企業の魅力を学生に伝え、交流を深めることを目的に開かれたイベントだ。
今回のテーマは「カジュアルな雰囲気と服装」。市内の企業5社と学生約30名が参加し、普段の合同説明会とはまったく違う空気だった。企業側は自社の魅力や抱えている課題を正直にシェアし、学生は自分の強みや性格を自由にアピール。互いに率直な意見交換をする姿が目立ち、会場は終始リラックスした雰囲気に包まれていた。
企業にとっては採用やブランディングの新しい可能性を探る場であり、学生にとっては「働くこと」をリアルにイメージできる貴重な機会。地域と次世代をつなぐ、意義のある取り組みとなった。
1,000万円を超える補助がある会社「新日本熱学株式会社」

最初に登場したのは、新日本熱学株式会社。採用担当の税所さんが紹介したのは「持ち家制度」という福利厚生だ。
「22歳で入社して60歳まで働いた場合、会社からの住宅補助だけで1,000万円以上受け取れるんです」
この制度は、社員が住宅ローンを組んでマイホームを購入した際、毎月3万円の補助を定年まで支給するという仕組み。例えば30歳で住宅を購入すれば、60歳までに総額1,000万円を超える支給になる。実際にこの制度を活用して、若いうちにマイホームを手に入れる社員も多いそうだ。長期的に安心して働ける制度は、同社の大きな魅力のひとつとなっている。
では、その会社はどんな仕事をしているのか。新日本熱学は、製鉄や石油に関わる「プラント」と呼ばれる大規模施設のメンテナンスを手がける企業だ。プラントと聞くと少し遠い存在に感じるかもしれないが、その役割は生活に直結している。スマホや車に使う材料、ガソリン、食品のパッケージなど、身近なものを生み出す工場を支えているのだ。まさに「ものづくりの土台」を担う存在だといえる。
「プラントはスケールが大きく、常に学び続ける姿勢が必要。でも、自分が関わった工場が完成したときの達成感や、そこで感じる成長が大きな魅力なんです」と税所さんは語る。大規模な現場に挑戦してみたい人にとっては、やりがいのあるフィールドだろう。
おしゃれなカフェのような職場「株式会社富士精工」

次に登場したのは、株式会社富士精工。営業部の武石さんが紹介したのは「快適な職場環境」だ。
「工場内は一年を通して23度に保たれています。オフィスにはおしゃれなカフェスペースもあって、社員が気軽に使えるんです」
製造業というと「重い物を運ぶ」「夏は暑い」というイメージがあるかもしれないが、富士精工の環境はそのイメージを大きく変える。
同社の強みは、プラスチックや樹脂を精密に削る「切削加工」だ。家電、自動車、医療機器の部品や、その製造に欠かせない型をオーダーメイドで作り、業界を幅広く支えている。目立たない場所で使われる部品が多いが、なくてはならない存在だ。さらに近年は半導体分野にも注力し、新しい需要の波に挑んでいる。
「営業と製造の連携が一番大事。お互いにコミュニケーションを取りながらチームで仕事を進めていくからこそ、良い製品が生まれる」と武石さん。個人作業のイメージが強い製造業だが、実際にはチームワークが成功のカギを握っている。
「半導体の需要がこれから大きく伸びる。その波に一緒に挑戦してくれる仲間と出会いたい」と力強く語ってくれた。
成長と夢を実現する企業「株式会社アンサー倶楽部」

「入社して3年ほどで月収50万円を超えることもある」――そう話すのは、株式会社アンサー倶楽部の人財戦略室・流田さん。
同社は、不動産業界で住宅の売買や賃貸管理を中心に事業を展開。特徴は、努力が正しく評価される給与体系を整備していることだ。成果を出せばキャリアと収入の両方がしっかり伸びていく。
「不動産の仕事は、お客様の人生に深く関わる責任のある仕事。でも、その分だけ成果が評価される実感も大きいんです」と流田さん。努力が形になって報われる仕組みがあるからこそ、社員のモチベーションにつながっている。
さらに、同社では社員が安心して成長できる環境も用意されている。地域に根ざした事業展開のため転勤がなく、長く地元で働ける。年間125日以上の休日もあり、プライベートを大事にできるワークライフバランスが整っているのも魅力だ。仕事と休みのバランスがしっかりしているから、社員の定着率も高い。
「不動産=営業」というイメージを持つ人も多いだろう。しかしアンサー倶楽部では、広報やマーケティング、システム開発や管理など、多彩な職種が活躍している。流田さんも「社内にはプログラムを組む部署もあるし、幅広いスキルを活かせる」と話す。社員一人ひとりの得意分野を伸ばせる環境がある。
「地元で安定して働きたい」「努力をしっかり評価してもらいたい」「不動産業界でキャリアを築きたい」――そんな思いを持つ人にとって、アンサー倶楽部は魅力的な会社だろう。まずはインターンに参加して、実際の雰囲気を体感してみるのもおすすめだ。
命を守る計測器の商社「株式会社旺計社」

「我々の仕事は、人々の命を守るための計測器を提供し、それを維持していくこと」――そう語るのは、株式会社旺計社の代表・寺田さん。
旺計社は北九州市小倉を拠点に、計測器の販売からメンテナンスまでを一貫して行う商社。創立から70年以上にわたり、公共設備や工場の維持管理を支え、地域の安全とインフラを守り続けてきた。
扱う商品は、熱画像装置、ガス測定装置、水質測定装置など、多岐にわたる。普段の生活ではあまり目にしない機器ばかりだが、公共設備や産業を裏側から支える「縁の下の力持ち」だ。
「現在、売上は12〜15億円ほどで、年々成長を続けています」と寺田さん。成長の理由は、販売だけでなく設置や設定、アフターサービス、修理までを一貫して行う体制。そして、部門同士が連携し、顧客の要望に迅速に対応できる仕組みにある。こうした信頼の積み重ねが、同社の強みとなっている。
さらに、環境保護にも力を入れており、環境計測機器を通じてSDGsに貢献。「エコアクション21」の認証も取得し、持続可能な事業を進めている。
「就職はゴールではない。いろんな経験をして、より良い人生を築いてほしい。どこに就職しても間違いはない。置かれた場所で花を咲かせてほしい」――寺田さんの言葉には、学生一人ひとりの未来を後押しする想いが込められていた。
70年以上にわたり人々の命を守る計測器を扱い、社会から厚い信頼を得てきた旺計社。これからも専門性を進化させ、社会に貢献し続けていく。その姿に共感した人は、ぜひホームページをチェックしてみてほしい。
豊な暮らしをかたちにする企業「株式会社ナフコ」

「エース級の若手には、あえて激戦区の店舗に配属します。昔から『可愛い子には旅をさせろ』と言うでしょう」――そう語るのは、株式会社ナフコの人事部・河野さん。
ナフコは全国に約360のホームセンターや家具インテリア店舗を展開。「現場第一主義」を掲げ、社員一人ひとりが成長できる環境を整えながら、お客様の暮らしを支えている。
事業は「ホームセンター」「家具インテリア」、そしてその両方を組み合わせた「コンビネーション店舗」という3形態。幅広い商品やサービスを通じて、人々の暮らしをより豊かにしている。
ナフコの仕事は単なる商品販売ではない。河野さんは「お客様一人ひとりの暮らしを想像し、共感しながら理想の住まいを形にすることにやりがいがある」と話す。社員はお客様の快適な生活をつくるために、考え抜き、寄り添っている。
また、同社では「挑戦の連続」という言葉がよく聞かれる。河野さんは「店舗づくりはこだわり出したら終わりがない。だからこそ、常に挑戦し続けることが楽しい」と笑顔で語る。新しいアイデアを現場で試す文化があり、それが社員の成長や店舗の進化につながっている。
若手社員には、あえて困難な環境に挑戦させることもある。現場での成功体験が大きな自信となり、さらに次の挑戦へとつながるからだ。社員同士も対等に意見を交わし合い、互いに成長を後押しする風土がある。
ナフコが大切にしているのは「心豊かな暮らしや社会の実現に貢献する」という理念。お客様と社員が共に豊かさを追求していく場所を目指している。
「暮らしを支える仕事に挑戦したい」「現場で成長を実感したい」――そんな人にとって、ナフコは理想の職場となるだろう。まずはホームページをチェックして、その理念や取り組みに触れてみてほしい。新しい挑戦の舞台が、そこにある。
イベント終盤には立食パーティ形式で交流

イベントの締めくくりには、寿司やピザなどが並ぶ立食形式の懇親会が行われた。最初は企業担当者との対話に緊張していた学生たちも、食事を囲みながら徐々に表情が和らぎ、リラックスした雰囲気の中で会話が広がっていった。
感じたことや新しく得た視点を互いに語り合う姿があちこちで見られ、学生同士でも自然に交流が生まれる。普段の学校生活では触れることの少ない業界や仕事の話を聞くことで、それぞれの視野が広がっていくのが印象的だった。
不動産業界や食品業界を志望している学生の一人は「これまであまり関心を持っていなかった業界の話を聞いて、もっと知りたいと思いました。こういうカジュアルな交流会は初めてでしたが、とても有意義で、ぜひ次回も参加したい」と笑顔で語った。
また、情報系を専攻する学生は「自分が学んでいる分野とは違う業界の話を聞けたのが大きな刺激になりました。今回、興味を持てる企業にも出会えて、本当に有意義な時間になった」と満足そうに会場を後にした。
企業特別体験会開催のお知らせ

全国有数のものづくりの街として知られる北九州市。その現場を実際に体験できる特別なバスツアーが開催される。今回のプログラムでは、「KitaQ Link Day」で出会った企業や、興味を持った企業の“リアルな仕事の様子”や“働く人たちの空気感”を五感で感じることができる。さらに、現場で働く先輩社員と直接対話する機会も設けられており、働き方やキャリアについての生の声を聞けるのも大きな魅力だ。
ものづくりの現場には、日々新しい挑戦や工夫があふれている。「就職活動のために参加したい」という人はもちろん、「単純に工場の裏側をのぞいてみたい」という人にとっても、大きな発見や刺激が得られるはずだ。北九州がこれまで育んできた産業の力を肌で感じ、自分の未来の可能性を考えるきっかけにしてほしい。
参加を希望する人は、リンク先の申込みフォームからエントリーできる。詳細や最新情報は、北九州商工会議所のイベントページに掲載されているのでチェックしてみよう。北九州が誇るものづくりの最前線を、仲間と一緒に体験できるチャンスだ。
 
				 
				 
				 
				 
				

 
			 
			 
			 
			 
			 
			
